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PM 21春 午後Ⅰ 問1

問題

プロジェクトのリスク管理に関する次の記述を読んで,設問1〜3に答えよ。

 C社は,首都圏に拠点を置く,中堅のSI企業である。医薬品業界に強みをもち,製薬会社の生産管理システムの多くを,C社が構築している。
 K社は,地方の製薬会社である。競争の激化から,大手企業との合併のうわさも出ている。K社の生産管理システムは,構築後10年以上が経過し,改修を繰り返してきた結果,保守を継続していくことが難しい状況になっている。このためK社は,新しい生産管理システムの構築と保守をC社に依頼することにした。要件定義と外部設計及び総合テストは実費償還による委任契約を,内部設計から結合テストまでは定額による請負契約を,保守についても請負契約を締結することにしている。

〔K社プロジェクトの状況〕
 C社は,K社の生産管理システム構築プロジェクト(以下,K社プロジェクトという)の準備を開始した。
 C社は地方の拠点をもっていない。K社との保守契約では,障害時に一定時間以内に現場へ到着することが求められる。そこで,K社の近隣に位置するL社と協力してK社プロジェクトを遂行することにした。L社は小規模なSI企業であり,技術力はあるが,大規模システムの開発経験が少ないので,プロジェクト管理能力に不安がある。
 C社のK社プロジェクトのプロジェクトマネージャ(PM)はD氏である。D氏は営業担当者とともにK社を訪問し,K社プロジェクトの要件を確認した。その結果,D氏は,これまでC社が構築してきた生産管理システムの経験で十分に対応が可能であると判断した。また,K社の画面・レポートの要件にも特殊性はなく,要件定義に関するリスクは小さいと判断した。
 C社からK社,L社へは交通手段が限られており,出張には多くの時間と費用が掛かる。要件定義から外部設計まではK社に集まって実施し,内部設計から結合テストまでは分担してC社,L社にそれぞれ持ち帰って実施する予定である。内部設計以降もL社との定期的な進捗会議及び成果物レビュー会議の実施が必要となるので,D氏は,出張に掛かる時間と費用の削減を目的として,テレビ会議システムを積極的に利用することにした。
 C社は,P社製の生産管理用のソフトウェアパッケージの現在普及しているバージョン(以下,現バージョンという)をベースとして,顧客要件に合わせて,機能や画面を追加する開発方法をとっている。P社は,先月から大幅に機能を強化したバージョン(以下,新バージョンという)の提供を開始したが,C社は新バージョンでの開発経験はまだない。K社は,システムの稼働開始後にバジョンアップ作業を改めて行うことは避けたいとして,K社プロジェクトでは新バージョンを適用するように,C社に要求している。

 

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出題趣旨

 システム開発のプロジェクト遂行においては,最初にリスクを適切に識別し,発生確率と影響度を分析する。次に対応の優先順位を決め,対応策を策定し,それらを含めた計画・予算の設定を行う。これらは,プロジェクトを円滑に推進する上で必須の活動である。
 本問では,プロジェクトマネージャが,プロジェクト遂行に当たり,理解しておかなければならないリスク対応計画策定の手順と,リスク対応活動の実践力を問う。

採点講評

 問1では,リスク対応計画策定時の,予防処置及びリスク対応活動の実践力について出題した。予防処置の具体的な内容を問う設問1や,リスク管理表からリスク対応活動の優先順位を判断する設問3の正答率は高かったが,プロジェクトの置かれた状況からリスク要因を探り出す設問2⑴や,予防処置の目的を解答する設問2⑵の正答率は低かった。
 設問2⑴のプロジェクト体制面のリスク要因への解答として,“新バージョンの開発経験はまだない”などのように,本文中の記述をそのまま引用している記述や,“進捗が遅れる”,“コストが増加する”という,結果として起こる現象の記述が目立った。“プロジェクト体制面のリスク要因は何か”という題意に沿った解答をしてほしかった。
 設問2⑵では,“双方が同じ資料で確認する”,“言葉で伝わりにくい部分を埋める”などの一般論的な解答が目立った。成果物を共通ファイルサーバに置くという予防措置のリスク管理上の目的を,本文の状況を前提として,具体的に解答してほしかった。