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PM 24春 午後Ⅰ 問2

問題

プロジェクトの立て直しに関する次の記述を読んで,設問1〜3に答えよ。

 R社は,中堅のSI企業である。先ごろ,中堅の製造業のH社から,経営管理システムの開発を受注した。R社社長が友人であるH社社長からシステム化の相談を受けたのがきっかけであった。
 プロジェクトの開始に当たって,R社社長は,若手のS氏をプロジェクトマネージャ(PM)に任命し,社内から優秀なメンバを集めてプロジェクトを進めることにした。要件定義,外部設計及び総合テストは委任契約,内部設計から結合テストまでは請負契約を締結することになっている。来年1月から開始するプロジェクトのスケジュールを図1に示す。

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 要件定義及び外部設計終了の際には,両社社長及びH社の各部門の責任者を交えたステアリングコミッティを開催して,要求事項が反映されているかどうかの確認と,次工程以降の開発計画の承認,契約内容について見直しが必要かどうかの協議を行うことになっている。稼働開始時期については,当初はH社社長から“来年1月にプロジェクトを開始し,1年後の再来年の1月に稼働開始したい”という要求が寄せられたが,外部設計が完了した段階で協議することで合意されていた。その後,プロジェクトの開始に当たって,R社社長がH社社長を訪問したときに,R社社長がS氏の反対を抑える形で,“プロジェクト開始から1年後の稼働開始を目指す”ことを口頭ではあるが約束している。
 プロジェクトは1月に予定どおり開始され,要件定義の作業は,H社社長の要求を確認している段階では順調に進んでいた。しかし,各部門の要求を洗い出す段階になると要求が収束せず,S氏の手に余る状況となり,ついに着手から1か月半を経過した時点で,S氏が体調不良を訴え,PMを交代することとなった。R社は,事態を打開するために,ベテランのT氏を新たなPMとして選任し,プロジェクトの立て直しを図ることにした。

 

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出題趣旨

 プロジェクトの立て直しのために,プロジェクトの途中で新たなプロジェクトマネージャ(PM)が任命されることがある。そのような場合,PMは,プロジェクト全体の状況を把握し,問題点を洗い出し,その原因を特定し,実行可能なプロジェクト計画を早急に策定する必要がある。その際に,表面的な問題点ではなく,真の原因を掘り下げ,その対策を盛り込むことが重要である。また,関係者に対し,適切にコミュニケーションをとり,協力を得ることも重要である。
 本問では,プロジェクトの立て直しという状況の中で,これらの観点をどのように実践するか,PMとしての総合的な能力を問う。

採点講評

 問2では,プロジェクトの立て直しに際し,プロジェクトマネージャ(PM)は,いかに正しく状況を把握し問題点を洗い出すか,関係者との協力関係をどう築き,解決の方針をどう設定し,対応策の提案をどう行うかなどについて出題した。全体として,正答率は高かった。
 設問2⑵では,“社長同士の友人関係に気を使ったから”という人間関係からの解答が見られた。企業のトップが約束した内容を修正する方針を出すのであるから,事前の了承を得る必要がある点を理解してほしかった。また,“R社社長から説得してもらうため”というPMの責任を放棄するような解答も見られた。PMはプロジェクトの全責任をもち,自ら行動するという意識を,常にもってもらいたい。
 設問2⑶では,“2チームのスケジュールが異なるから”というスケジュールの課題として捉えた解答が見られた。最も重要なステークホルダであるH社社長の要求に絞って約束を実現するための対策として捉えて解答してもらいたい。
 設問3では,単純に“2チームに分ける”という解答が散見された。業務管理レポートの要件定義が各部門の業務担当者任せで,収束していないことがこのプロジェクトの問題点であるので,その対策として取りまとめる責任者を選任してもらう必要があることを理解してもらいたい。